セルフケアについて
身体が痛い時は、どうしても動くのも怖々になってしまいます。少しでも痛みから逃れたくてじっと縮こまっていませんか?
実は、この状態が更に痛みを生み出し、治りにくくしています。
ただし、無理な運動をしてはいけません。
筋膜は不動(動かさない)あるいは、使いすぎによって筋膜と筋膜の間の滑りが悪くなり、やがて癒着が起きます。血管、神経、リンパ管は筋膜と筋膜の間を走行していますので、この癒着によって新陳代謝が落ちたり、神経系に障害が起き、痛みや痺れ感、筋力低下等様々な症状が発生します。
実は、私は痛みがまたそこまで酷くない時にリハビリのつもりでかなりハードな力仕事をしてしまいました。おかげで筋力がついたし元気も出た…と喜んでいましたが、これですっかり痛みを悪化させてしまいました。
また、施術を受けに来られた方の中に、「痛くて痛くて歩けない」と病院に行ったところ、医師からひとこと「運動しなきゃダメたよ」と言われたという方がいらっしゃいます。「歩けないし、動けないって言ってるのに運動しろって!出来ないから病院に行ったのに…」と言っておられましたが、いきなり「運動しなさい」と言われても途方に暮れてしまいますよね。
使いすぎても、使わなくても筋膜の状態が悪化するとなりますと「どうしたら良いの?何を基準に動かしたら良いの?」という当然の疑問が湧いてきますね。
そこで次のような基準を参考にされてください。
①気持ちの良い動きが有る⇒この動きは積極的に行ってください。
②動かしているときは痛みや不快感が有るが、動きを止めれば大丈夫⇒動かす方向や動きの幅を調整し、運動後の様子を見ながら続けてください。
③動かしているときも痛みや不快感が有るし、動きを止めても痛みや不快感が残る感じが有る⇒この動きは当面止めてください。
「運動」というと何か特別なことをしなくてはいけないと思ってしまいがちですが、実は普段やっている位のことで良いのです。普段座っている事が多い方なら「歩く」、歩いている方でしたら「少し早足で歩く」。これだけでも身体や脳への刺激になり、痛みの改善に繋がります。
動くのが難しい場合はイメージ・トレーニングも有効です。歩くのが辛い方は、ご自分が歩いているところをイメージしてください。イメージしながら、動かせる箇所(例えば手や腕)を動かすと更に効果的です。
これなら出来る気がしてきませませんか?
難しく考えないで、まずは出来ることから初めてみましょう。
動く勇気が沸いてきた方、痛みを悪化させたくない方には、痛みの緩和を目指した身体に優しいメディカル・ヨガをお勧めします。
メディカル・ヨガは、痛みで身体を動かすのが心配な方や、どう身体を動かして良いか分からないと言う方にも安心して取り組んでいただける痛みの緩和や不定主訴の改善に特化したセルフケアです。
□ ストレッチとは違う無理の無いP・I・R(ポスト・アイソメトリック・リラクゼーション)という方法で筋肉をリラックスさせたり、ボールや麺棒を使って身体をほぐしたりしてお身体の調子を整えます。
□ 痛いところだけ弛めるだけではなく、筋膜の連鎖を意識して、お身体全体のバランスを整えます。
□ また、痛みの治りにくい方は内臓機能が低下しています。自力で出来る内臓回復テクニックで内臓を活性化させ身体の中から元気を取り戻して行きます。
セルフケアをすることによって、身体が弛んだりバランスが整うのは勿論ですが、心の緊張も弛みますし、何よりも自分で良くなっていこうと意識することが痛みの緩和に大きな効果をもたらします。
「ヨガ」と聞くと、綺麗なポーズや柔軟性を創造して躊躇してしまう方もおられるかもしれませんが、メディカル・ヨガは運動神経も身体の柔らかさも全くも必要ありません。どなたでも安心して行えるセルフケアです。
ペインリハビリテーション(松原貴子・沖田実・盛岡周/三輪書店)身体を動かさないことが痛みに繋がるということ等が詳しく書かれていて大変参考になりますが、専門書なので難しいです。一般向けのもっと分かり易い本を見つけたら改めてご紹介させていただきます。